M&Aの中で営業譲渡とは、ある事業に対する営業用財産を買い手側に譲渡することをいいます。営業譲渡がよく使われるケースは、一つの会社が幾つかの事業を行っていて、そのうちの一部門を譲渡したいという時や、複数の店舗を抱えている際にそのうちの幾つかだけを売却したいなどといったときです。営業譲渡の対価は譲渡した記票に支払われますので、営業譲渡で得た資金を他の事業拡大に振り分けたり、財務体質の強化に充てたりということも可能になります。
買い手側から考えると、営業譲渡は非常に有効な手段であるといえます。株式譲渡を行う際には会社ごと全ての権利義務関係を継承することになりますが、営業譲渡においては売り手側の法人はそのまま残りますので、簿外負債のリスクは売り手側が負担することになってリスクを回避することができます。売り手側の企業の経理が不透明で、帳簿に記載されていない負債や偶発債務などが出てくる心配がある際には営業譲渡を選ぶことが強力なリスク回避の手段になるのです。